今回はFANUC GコードのG85とG86について解説いたします。
FANUCのGコード G85、G86とは?
G85=ボーリングサイクル
G86=ボーリングサイクル+ドウェル
固定サイクルの中でも埋もれがち?でマイナーな存在かもしれません。
知ってても使わない方も多いのでは?
では、G85とG86とはなんなのか。
NCプログラムの簡単な例を出しながら解説してみたいと思います。
G85ボーリングサイクルとは?
G85というのは主にリーマ加工やボーリング加工に適したもので
工具がR点に戻るときに、早送りではなく切削送りになります。
G81やG83などの通常の穴加工固定サイクルでは切削後にR点に戻るときには
早送りになりますよね。
そこが通常のF値、つまり切削加工の送りでR点に戻るというわけです。
プログラム例
G99 G85 X5. Y10. Z-20. R5. F75;
X5.Y10.の位置にZ-20.までF75の送り速度で加工する穴加工です。
R点が5.なのでZ+5.の位置まで早送りし、Z-20.までF75の送り速度で到達したら
Z+5.のR点までF75で戻る、という感じです。
リーマ加工やボーリング加工に最適ですね。
G86ボーリングサイクル(ドウェル)とは?
では次はG86です。
G86は主にボーリング加工で使用します。
どのようなものかといいますと、
Z最下点(穴底)まで到達したら、そこで主軸の回転が止まり、
R点まで早送りで戻るというものです。
穴底の切削面に触れた状態で工具の回転が止まるため、切削面には刃先のすじが付いてしまいます。
よって切削面の精度が要求される場合には、このG86の使用は適しておりません。
プログラム例
G99 G86 X5. Y10. Z-20. R5. P300 F75;
では先ほどのG85の例とほぼ同じものです。
G85とG86のプログラムの違いとしては、G86にはドウェルをいれることが出来ます。
ドウェルについては弊社メインサイトにて解説しております。👇
ドウェル=P
P100=0.1秒として表されます。
で、戻りますが、今回のG86の例では
X5.Y10.の位置にZ-20.まで加工し、そこでドウェル分回転した後
主軸が穴底で止まり、早送りでR点のZ+5.まで上がるという感じになります。
まとめ
ではまとめです。
G85やG86は仕事によってはあまり使用する機会はないかもしれません。
リーマ加工にはG85はとても適した加工ですね。
次回は今回の続きとしてG88とG89について書きたいと思います。